南馬宿村の朝は、どこからか聞こえる夜驚症の叫び声と、肥溜めから立ち昇るメタンガスの微かな匂いで幕を開けます。そんな平穏な日常の中、キミさんの家では喜ばしい出来事がありました。大切に育てていた特別天然記念物のトキの卵4個から、3羽の雛が無事に孵化したのです。
かつて、夫の勲さんが飼っていたペットの「オロチ」に雛を飲み込まれるという悲劇がありましたが、二度と同じ過ちを繰り返しません。勲さんのオロチ5匹はすべてぶつ切りにされ、村の広場で「ヘビ汁」として全村民に振る舞われました。
「これで雛も安心だ」と、歯の抜けた口でヘビの身を啜りながら語る勲さんの表情には、一片の迷いもありません。ペットの命より、村の「助け合い」による危機管理が優先されるのが南馬宿村の掟です。
現在、キミさんは18羽のトキと共に暮らしていますが、冬になれば求愛行動の「枝渡し」も始まることでしょう。来年もまた、雛の安全を確保するために、オロチが汁物の具材になるのかもしれません。
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