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南馬宿村の気候

日本一厳しい気候

南馬宿村は四方を切り立った山に囲まれた盆地に位置するため、寒暖差が極めて苛烈です。1月の平均気温はマイナス4度に達し、冬場は三つ目山から吹き下ろす、刃物のように皮膚を突き刺す極寒の風が吹き荒れます。

暖房設備や上下水道など存在しない当村において、この寒さはまさに試練といえます。寒さに耐えかねて同報無線の100デシベルのアラームを遮断しようとしたり、火鉢の火を不注意に扱って自宅を全焼させたりする軟弱な移住者は、この時期に速やかに淘汰されます。なお、豪雪によって家屋が雪の壁で囲まれることがありますが、これは村八分による兵糧攻めではなく単なる自然現象である場合もありますので、余計な被害妄想はご遠慮ください。年平均降雪量は1,000cmを超える豪雪地帯となっております。

一方で夏は非常に酷暑を極め、8月の平均気温は28度と大都市並みの暑さとなります。当村は海側の山が低いため、夏は逃げ場のない湿地のような高温多湿の空気が滞留し、冬は大量の雪雲を呼び込みます。

エアコンや扇風機といった文明の利器はもちろん存在しません。猛暑の中で涼をとる唯一の方法は、冷たい湧き水をかぶるか、肥溜めから湧き出るメタンガスの気化熱を身に受けることのみです。汗をかいて清潔な服に着替えようものなら、即座に「労働を怠っている」とみなされ、村長らの意向により顔面へ墨汁を塗られた上に牛糞堆肥の切り返し作業へ投入されますのでご注意ください。

この過酷な気候に耐えかねて倒れる者は、当村においては「不要な木偶の坊」です。厳しい四季の移り変わりは、村の純血と労働力を維持するための極めて効率的な間引きのシステムとして機能しております。

干ばつ

気温

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温 (°C) 0.2 0.7 3.3 14.0 19.9 23.1 28.2 32.0 25.7 17.7 10.8 2.4
平均気温 (°C) -4.1 -3.7 0.8 8.8 13.5 19.0 23.2 25.8 21.0 12.9 5.2 0.9
最低気温 (°C) -7.8 -5.8 -2.6 2.5 7.9 14.2 18.9 20.7 14.1 7.0 1.9 -2.3

気性が荒いのは厳しい気候のせい

豪雪、豪雨、洪水、干ばつ、暴風、さらには異常高温に異常低温と、季節の変わり目ごとに苛烈な自然災害が村を襲います。当然ながら農作物は頻繁に凶作に見舞われますが、当村において本当の試練が始まるのは災害の直後です。

水路の水を巡る奪い合いは村の風物詩であり、農機具やバキュームカーを全開にした命がけの死闘が各所で繰り広げられます。一方で、ある世帯の畑が例年通りの豊作で、隣の世帯が凶作だったりいたしますと、激しい妬みから深夜の泥沼化バトルへと発展します。

「あいつの家の井戸に除草剤が混ざっていた」「庭に身に覚えのない落とし穴が掘られていた」「未明に軽トラックが玄関へ突っ込んできた」といった微笑ましいトラブルは、すべてこの過酷な気候が村民の気性を荒く鍛え上げた結果といえます。人間同士の争いは極寒の三つ目山での労働以上に肉体的・精神的エネルギーを激しく消耗しますが、これこそが弱者を淘汰し、村の過酷な環境に耐えうる猛者だけを生き残らせる「無償の体力錬成」となっています。

なお、災害時に「助けてください」と弱音を吐いた移住者は、即座に「役立たずの木偶の坊」と判定され、顔面に廃油や墨汁を塗られたうえで姥捨山への道直し作業へ投入されますのでご注意ください。

洪水

下痢豪雨

南馬宿村では「下痢豪雨」と呼ばれる極めて不吉な気象現象が頻発しています。

盆地特有の地形ゆえ、逃げ場を失った悪雲が村の上空に溜まり、まるで消化不良を起こした胃腸のように、容赦のない濁流を村全体へと一気に吐き出すのです。

先日もこの下痢豪雨により、村民の唯一の命綱である湧き水が泥で激しく濁る被害が発生しました。これに対し、村長・重敏はすぐさま同報無線を起動し、100デシベルの大音量アラームとともに

「これは天が我々の団結力を試しているのだ」

と厳格な布告を発令。外部から来た移住者たちに対し、村への忠誠を示す絶好の機会として、無償での土砂撤去と水路確保の作業を命じました。

移住者たちは泥にまみれ、顔面に汚物を塗られたような状態で必死に作業を完遂いたしましたが、試練はそこで終わりません。その日の深夜、再び凄まじい下痢豪雨が村を襲い、確保したはずの湧き水は再び見るも無残に濁り果てたのです。

翌朝、青ざめた移住者の一人が

「深夜の豪雨は天候予測など不可能だった」

と必死に弁明を試みました。しかし、当村において「自然の不可抗力」などという甘えは一切通用しません。村人たちは無言でその男を取り囲み、静かにドテラの袖を擦り合わせました。

南馬宿村では、湧き水が濁るという未曾有の危機が起きた際、誰かが必ずその咎を引き受けなければなりません。そして、その責任を背負う「誰か」とは、太古の昔から決まって移住者と相場が決まっているのです。

「天候を予測できなかった」という致命的な無能を晒したその移住者は、即座に「役立たずの木偶の坊」と認定されました。彼は村の集会で泥水入りの冷たい杯を交わされた後、二度と持ち場を離れられぬよう、深夜の八つ目樹海へと続く未舗装路の修繕要員(自力生還不可)として永久派遣されることとなりました。

天の怒りも、村の不条理も、すべてを受け入れて土と同化することこそが、この村で「村八分」を数日だけ先延ばしにする唯一の作法です。

 

暑い、寒いと弱音を吐くことはご法度

南馬宿村において「暑い」「寒い」といった気候に関する弱音を吐くことは、自ら「私は人間以下の木偶の坊です」と大声で宣言するに等しい愚行でごす。

例えば、猛暑の中で溝掃除のボランティア(半強制)を行っている際、不用意に「暑いから休憩したい」などと発言しようものなら、即座に

「大馬鹿野郎!暑いのは当たり前だ、怠けようとするな!気合入れろ!」
「おーいみんなー、暑いから休憩したい怠け者がここにいるぞー!」

と全村人に共有され、見せしめの標的となります。

同様に、冬の雪下ろし中に

「寒くて身体が動かない」

と漏らせば、
「不届き者め!怠けている証拠だろ、さっさと身体を動かせ!」
「おーいみんなー、理由をつけて雪下ろししたくない腐れ外道がここにいるぞー!」

と罵声が飛んできます。

過酷な気候は当然の前提であり、そこで弱音を吐く者は「労働力として有害な存在」とみなされます。当村で生き残る唯一の方法は、感情を殺し、ただ静かに作業を続けることのみでございます。

南馬宿村の厳しい冬 南馬宿村の厳しい冬

季節のイベント

過酷な自然環境に晒される当村では、厳しい気候や危険な生態系をそのまま利用した独自の伝統イベント(全世帯参加義務)が年間を通じて開催されています。

不参加や途中棄権は「過剰な自己愛による村への裏切り」とみなされ、即座に名前入りの墓が建てられるか、ご自宅へバキュームカー横付けの上で汚物を逆噴射される対象となりますので、いかなる理由があろうとも絶対に参加してください。

春先には、大量のスギ花粉を全身で受け止め、目や鼻の粘膜から過酷な免疫力を養う「スギ花粉ぶっかけ祭り」が行われます。呼吸困難で倒れた者は「弱い者」として即座に間引きの対象となります。

夏場には、エアコンや扇風機が存在しない酷暑の中で暖炉を焚き、火鉢を囲んでどてらを着込む「夏の我慢大会」や、八つ目樹海で採取した狂暴なスズメバチの巣を生身で投げ合う「蜂の巣キャッチボール」が開催されます。

秋には、八つ目樹海の新種キノコを無作為に食す「毒キノコロシアンルーレット」にて村の人口調整と適性検査を行い、冬にはマイナス4度の極寒の中、氷の張った湧き水へと飛び込む「寒中水泳大会」および「冬の我慢大会」が控えています。

また、これら定期イベントのみならず、酒に酔った村の古老たちの思いつきにより、深夜3時に同報無線の100デシベルのアラームとともに突発的な催しが開催されることも珍しくありません。逃げ場のない集落で生き残る唯一の方法は、自我を捨て、血を流しながら笑顔で参加するのみ。

>南馬宿村役場

南馬宿村役場

日本政府に忘れられた唯一の村、南馬宿村。良く言えば自然豊かな環境で人間味溢れる村人たち。悪く言えば江戸時代以下の文明レベルと感情をむき出しにする村民。そんな村八分に移住しませんか?

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