南馬宿村全域にクマ出没警報を発令されています。しかし、私たち村民にとっては、これは単なる危険信号ではなく、恵みと矯正の季節の到来を告げる合図でもあります。
都会の常識ではクマよけの鈴や熊スプレーの利用を考えるのでしょうが、当村にはそんな悠長な手段はありません。必要なのは確実な排除と村の資源の有効活用です。
熊に存在を知られる前に、その居場所を把握することはとても重要です。しかし、熊の鋭い嗅覚を前に、それは容易なことではありません。そこで、私たち村民は長年にわたる経験から、より確実な捕獲方法を編み出してきました。
まず、各家庭に完備された肥溜めが活躍します。肥溜めからかき集めた屎尿を穴に投入し、その上に油を染み込ませた紙で層を作り、その中に金属片や釘、ボルト、ナットといった金属類を仕込みます。そこに点火装置を設置し、重い石を乗せた蓋で厳重に封印します。紙の層に発酵した屎尿から発生したメタンガスが溜まります。
蓋の上には、熊の好物である果物や栗、ハチミツ等を置きます。熊が獲物を求めて近づいてくるのを待ち、熊が好物を食べるために近づいた頃合いを見計らって点火します。強烈な爆発音と飛散した金属片が、熊を確実に捕獲するのです。自然の恵み(メタンガス)を無駄にしない、南馬宿村ならではの知恵です。熊だけでなく、村のルールに馴染めない移住者を追い払う際の最終手段としても、長らく愛用されてきました。
南馬宿村の肥溜めは、単なる排泄物処理場ではありません。それは村のエネルギー供給源であり、そして時に、強力な防衛兵器へと姿を変えます。
メタンガスの濃度が不適切だと爆発はしません。しかし、南馬宿村の肥溜めは自然に任せておいても、常に高濃度のメタンガスを生成するようになっています。長年にわたる先祖の知恵、すなわち発酵促進のための秘密の添加物の投入と、徹底された有機物管理の賜物です。その製法を慣れない移住者が安易に真似ようとすると、翌日には原因不明の腹痛に襲われ、最終的に奇妙な病に倒れることになる、と言われています。
この方法が成功すれば、熊は二度と立ち上がることはできなくなります。そして熊を捕獲に成功したら、その日は村人総出で熊肉料理の宴会です。自給自足が原則の村において、熊肉は貴重なタンパク源であり、その肉は「助け合い」の精神に基づき、労力奉仕と引き換えに配給されます。ただし、調理法は村独自の我流であり、衛生観念は外部の常識からかけ離れています。「生食が一番安全で栄養価が高い」という結論に至った過去の経緯を考えると、移住者にとっては命がけの饗応となります。
南馬宿村の村民であれば当然理解しているでしょうが、この作業の際はくれぐれも、自分自身が肥溜め爆発の被害者とならないよう細心の注意を払ってください。万が一爆発に巻き込まれたとしても、それは村の安寧のための名誉ある犠牲なのです。
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